『なぜ雨が降っているのに うちの子に傘をささずに 帰らせたのですか 風邪をひいたら責任を 取ってくれるんですか?』 僕が小3の担任をしていたとき ある保護者が職員室に怒鳴り込んできた。 僕は心の中でこう叫んだ。 「昼から雨の予報なんだから 傘を持たせてくれ‼︎」 だが、
その保護者はこう続けた。 「息子は先生に傘を 忘れたと言ったそうじゃないですか。 そのまま帰らせるなんて 信じられません。 だいたい普通に考えたら わかると思うのですが。 これだから子どもを 持ったことがない人は 親や子どもの気持ちが わからないんですよ」
「私は親になった経験はないですが 親の気持ちに寄り添う努力は しているつもりです。 それに子どもたちには 忘れ物や何か問題が起こったときに 自分たちで考えて行動するように 指導しています。 今回◯◯君は傘を 忘れたようだったので どうするかを聞いたら
その様子を心配して見にきた 教頭の一言がきっかけだった。 「お母さん、お子様が 雨に濡れて帰ってきたことに とても心配されたのですね。 確かに子どもが風邪をひくと いろいろと予定が崩れるので 大変ですよね。 その気持ちはよくわかります」 すると保護者の表情が 一瞬で緩んだ。
心の底から驚いた。 教頭は全員分の通知表の チェックをするので 確かに子どもの頑張りの様子を 記載したものに目を通している。 小さな学校とはいえ その内容を覚えて子どもの姿として 保護者に伝えたのだ。 それにまず保護者の 気持ちを受け止めることで 話を聞いてもらう信頼関係を